XR Optics

薄さと視野を両立する、
次世代XR光学系。

Cyrisin株式会社は、VRヘッドセット向けの光学モジュールを開発するファブレスメーカーです。 既存の光学系が原理的に抱える「薄くすると視野が狭くなる」というトレードオフを、 レンズの構造そのもので解きます。

MASO が到達しうる値 理論値

2mm

光学系の厚さ

180°

視野

サングラスの薄さで、人の視界のすべてを。

Technology

Multi-Aperture Superposition Optics
(MASO)

既存のVR光学系は、目の前に大きなレンズを1枚置く構成です。 視野を広げるにはレンズを大きくするしかありませんが、大きなレンズは焦点距離を短くできません。 薄さと広視野は、この物理的なトレードオフによって両立できないままでした。

MASOは、微小な単位レンズを複数並べ、それぞれが結ぶ虚像を重ね合わせます。 視野は「レンズが覆う面積」で、薄さは「レンズ1枚の小ささ」で決まるため、 2つを独立に設計できます。トレードオフそのものが消えます。

以下の図で示す「光学系の厚さ」は、接眼レンズの眼球側表面からディスプレイ表面までの距離を指します。

パンケーキレンズの断面図。眼の下に接眼レンズと第2レンズが並び、その先にディスプレイがある。ディスプレイから出た光は、ハーフミラーと反射偏光子の間で3回折りたたまれてから眼に届く。接眼レンズの眼球側表面からディスプレイ表面までが約20 mm、視野は約100°。
図1a 既存方式(パンケーキレンズ)。ディスプレイの光は、ハーフミラーと反射偏光子の間で 光路を3回折りたたまれて眼に届く。折りたたみで薄くはできるが、 偏光と反射を使うため光の大半を失う。厚さは接眼レンズの眼球側表面からディスプレイ表面まで。
MASOの断面図。眼球の回旋中心を中心とする球面上に微小な単位レンズを並べ、そのすぐ外側に球面ディスプレイを置く。単位レンズの眼球側表面からディスプレイ表面までが理論上2 mm、視野180°。
図1b MASO。眼球の回旋中心を中心とする球面上に微小な単位レンズを並べる。 薄い殻が眼を包む構造になり、視線移動に追従する広い視野が得られる。 厚さは単位レンズの眼球側表面からディスプレイ表面まで。

レンズを分割すると、当然「レンズとレンズの隙間が見えてしまうのでは」という疑問が生じます。 そうはなりません。レンズ間の隙間が瞳孔径よりも小さいとき、レンズ1が見せる範囲とレンズ2が見せる範囲は網膜上で重なり合います。 そのため、人間はレンズ間の隙間を視認できません。 人間の眼は点を見ているのではなく、瞳孔によって幅をみているためこのような現象が起きます。

ディスプレイ・隣り合う2枚の単位レンズ・眼を横から見た光路図。レンズ1が見せる範囲とレンズ2が見せる範囲が網膜上で幅 s だけ重なり合うため、レンズ間の隙間 Δ が瞳孔径 p 以下であれば隙間は視認できない。
図2 ディスプレイ・単位レンズ・眼を横から見た光路図。 レンズ1が見せる範囲とレンズ2が見せる範囲は、網膜上で幅 s だけ重なり合います。 そのため、レンズ間の隙間 Δ は像として現れません。 Δ が広がるほど s は狭くなり、Δ が瞳孔径 p に達したところで重なりが消えます。これが隠せる隙間の上限です。 人の瞳孔径はおよそ2〜8 mm。

そして、この「見えなくなる隙間」が、そのままセンサの置き場所になります。 センサを眼の真正面に置ければ瞳孔が真円として捉えられ、視線の算出は最も正確になります。 既存のHMDではセンサが視界に入ってしまうため斜めから覗く配置を強いられてきましたが、 MASOは正面に置けます。既存のフレネルレンズやパンケーキレンズには、原理的にこの隙間が存在しません。

4×4の単位レンズ配列。レンズどうしの隙間の交点に、フォトダイオード4個とIR LED 4個が配置されている。
図3 試作機の構成。レンズ間隙にフォトダイオード4個とIR LED 4個を実装し、 眼の正面から視線を捉える。

試作機の実測値 SID DISPLAY WEEK 2026

Thickness

14.6mm

光学系の厚さ

Field of view

179°

視野(水平画角139°/垂直画角79°・片眼)

Integrated

4+4

レンズ間隙に実装したフォトダイオードとIR LED

視野はすでに人の視界とほぼ同等。残る課題は薄さであり、そこがMASOの伸びしろ。

既存方式を薄さと視野の両方で上回る

既存のパンケーキレンズは光学系の厚さが約20 mm、画角が約100°です。 試作したMASOは厚さ14.6 mm・視野179°で、この両方をすでに上回っています。 さらに単位レンズを小さくするほど薄くできるのがMASOの構造で、 理論上は光学系の厚さ2 mm以下に到達します。

高い光利用効率

パンケーキレンズは偏光と反射で光路を折りたたむ方式のため、原理上25%を超える光利用効率の実現が困難です。 MASOは高い光利用効率が得られ、必要なディスプレイ輝度を下げられるため、消費電力の低減が期待できます。

視線追跡を光学系に内蔵

センサを目の真正面に置ければ瞳孔が真円として捉えられ、視線の算出は最も正確になります。 しかし既存のHMDではセンサが視界に入ってしまうため、斜めから覗く配置を強いられてきました。 MASOはレンズ間隙に眼の正面からセンサを配置できます。

量産を前提とした部品構成

試作機の単位レンズには、市販のPMMA(アクリル)製両凸レンズを7 mm角に切り出したものを使用しました。 単位レンズと素子画像アレイ(EIA)、そして筐体という単純な構成です。 設計と知的財産を自社で持ち、製造は専門の工場に委託するファブレス体制で事業化を進めます。

Research background

MASOは、九州大学大学院総合理工学府 服部研究室における 近接眼ディスプレイ向け光学系の研究を基礎としています。 当社代表の松尾賢杜は同研究室で本光学系の研究に取り組み、その成果を事業化するために Cyrisin株式会社を設立しました。研究成果の論文は、同研究室のメンバーとの共著として発表しています。

Publication

K. Matsuo et al., “Multi-Aperture Superposition Optics for Compact VR: Enabling Wide Field of View and Sensor Integration,” SID Symposium Digest of Technical Papers, vol. 57, no. 1, pp. 66–69, 2026. Invited Paper 4-4 / SID Display Week 2026 / Interdisciplinary Graduate School of Engineering Sciences, Kyushu University

News

新着情報

Company

Cyrisin株式会社を設立しました

福岡市中央区に Cyrisin株式会社(英文表記:Cyrisin Inc.)を設立しました。 VR/AR/MR向けの光学系・光学モジュールの研究開発と、その設計・製造・販売を事業とします。

Media

技術デモの様子が Charbax チャンネルで公開されました

SID Display Week 2026 の I-Zone での技術デモにあたり、ディスプレイ業界の展示会取材で知られる Charbax(Nicolas Charbonnier)氏に取材いただきました。 試作HMDの構造と、レンズ間隙に視線追跡センサを内蔵できる点について説明しています。

YouTube で取材動画を見る(Charbax チャンネル・外部サイト)

Exhibition

SID Display Week 2026 の I-Zone にて技術デモを3日間展示しました

米国ロサンゼルスで開催された SID Display Week 2026(2026年5月3日〜8日、Los Angeles Convention Center)の I-Zone(Innovation Zone)にて、MASOを実装した試作HMDの技術デモを、 展示会期の5月5日〜7日の3日間にわたって出展しました。 多くの来場者に実機を体験いただき、貴重なご意見をいただきました。

SID Display Week 2026 の I-Zone に設けた Cyrisin のブース。手前のポスターに視野179°・光学系の厚さ14.6 mmと記載があり、来場者が試作HMDを装着して体験している。
SID Display Week 2026 I-Zone のブース(米国ロサンゼルス)

Presentation

SID Display Week 2026 にて招待講演を行いました

SID Display Week 2026 のシンポジウム(Session 4-4/Invited Paper)にて、 代表の松尾賢杜が 「Multi-Aperture Superposition Optics for Compact VR: Enabling Wide Field of View and Sensor Integration」 と題した口頭発表を行いました。 SID Symposium Digest of Technical Papers, vol. 57, no. 1, pp. 66–69, 2026 に収録されています。

SID Display Week 2026 のシンポジウム会場で口頭発表を行う代表の松尾賢杜。スクリーンに発表題名が投影されている。
シンポジウム Session 4-4(Invited Paper)での口頭発表

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Cyrisin株式会社
代表取締役 松尾 賢杜
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